3・11から7年 反原発で節目の連続行動

避難者集会・訴訟の判決 大飯原発再稼働への抗議

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7年目の3・11、関西各地で行動が相次いだ。10日は避難者が主催の集会とデモが行われた。編集部の園は主催者でもあるので、主催者として報告する。また11日も大規模集会が行われた。だが関西電力は14日に福井県の大飯原発3号機を再稼働させ、大飯現地での抗議行動と関電本店前でのハンガーストライキが取り組まれた。15日は京都で、16日は東京で、福島や周辺の区域外避難者を含む避難者賠償訴訟としては初めての判決が出された。  (編集部)

3・10原発避難者と仲間たち全員集合! 大集会&デモ 「ゴーウエスト」園良太

 3月10日昼、長堀橋の大阪市中央会館で「原発避難者と仲間たち全員集合!大集会&デモ」を行った。主催は「Go West,Come West 3・11東北・関東 放射能汚染からの避難者と仲間たち(略称:ゴーウエスト)」で、私たち避難当事者自身が企画・運営したものだ。本紙既報の通り、関東の避難者が声を挙げ、東北の避難者や地元住民とも連帯して被ばく被害の告発や避難の必要性を訴えてきた団体だ。当日は約150人が参加し、原発事故の健康被害や避難者の声を共有した。

 集会はまず、「3・11放射能被ばくの影響が考えられる死者」の追悼から始まった。恐らく全国で初めての場だ。3・11後の東京で4千人もの患者を診た上で岡山県に避難した、三田茂医師が発表した論文「『新ヒバクシャ』に『能力減退症』が始まっている」が配布された。東日本・首都圏住民は異例の長期被ばくをし続けている「新ヒバクシャ」と規定すべきであり、臨床結果から彼らに「記憶が飛ぶ、怒りやすい、何もやる気が出ない、集中力・判断力・理解力の低下、病気にかかりやすく、治りにくくなる」といった生活能力の減退症状が増加している、というものだ。

 こうした上で、がんや突然死も増加している。避難当事者の東日本に残る友人親族で、若くして急逝した数十人のリストも資料で配布した。

 私は自分の思いを話した。「これは被ばくの影響があるとしか考えられない。だが、彼らは自分がなぜ死ぬのか、本人も周囲も訳がわからないまま朽ちていった。ゆえに地震死者のような追悼の場も一切無かった。最もむごい死に方だ。加害者の国が事故と被害を隠し、『因果関係が証明できない』と言い張り続けているからだ。だが史上最悪の事故が起きている以上、因果関係はあるのが当然。死者の無念を晴らすためにも、これ以上の犠牲者を出さないためにも、まず死者を記録・記憶し、追悼しよう」と説明した。

 そして、福島からの避難者が作った詩をチェロの音に合わせて読みながら、「見上げてごらん夜の星を」をピアノ演奏。追悼の思いを会場全体で共有し、参加者、避難者には涙があふれていた。

避難者たちの声

 次に避難者のパネルトーク。福島、茨城、埼玉、東京、神奈川からの8人の避難者が、(1)どのような経緯で避難したか、(2)7年経った現在の苦労は何か、(3)国に要求したいこと、の順に話した。まず参加者が口を揃えたのは、避難者の証言集会自体が減っており、生活苦が増して集会などに出てくるのもますます大変なことだ。3・10も、当初は東日本全県からの避難者の発言を目指したが、この理由により5都県に減った。

 自主避難者には、ほとんど何の支援もなかった。東京から淡路島への避難者は、何度も体調不良になった苦痛を報告。茨城からの避難者は「7年間、多くの人が望まぬ帰還に追い込まれ、昨春の住宅支援打ち切りで自殺者まで出た。もう限界だ。避難者に家と仕事を! 助け合って暮らせるコミュニティを! 新たな避難者にもその提供を!」と強く訴えた。

国に対して要求する内容

  後半は高知・愛媛・愛知・東京と全国の参加者が発言し、歌手の川口真由美さんが「命」の大切さを切々と歌唱。最後に避難者が「原発労働者のストライキ」を呼びかける歌と、避難してから「新しい景色が見えた」として「いつも何度でも」を歌った。

 最後に、健康被害の激化と避難者の苦境を変えるために、私たちは国に出す要求文を避難者みんなで議論して作り上げたので、読み上げた。
 1―すべてのデータを取り、公表せよ。

●まず、国が唯一調査している福島県の小児甲状腺がん患者193人は、福島原発事故の放射能汚染の影響であると認めよ。放射能による内部被ばくはあらゆる病気を引き起こすという前提にたって、
●放射能を理由に避難した人はすべて避難者である。その人数を調べて公表せよ。
●東日本の放射能の空間線量と土壌汚染を、すべて詳細に調べて公表せよ。
●国や福島県立医大に集まっている患者のデータをもとに、3・11福島原発事故の前と後で各種の病気の患者の人数がどれだけ増加しているか、正確に公表せよ。
 2―すべての放射能汚染被害者を救済せよ。
●避難指示の解除をやめよ。
●放射能汚染地域に被ばくを防ぐ長期政策を行え。
●避難者と避難希望者を支援せよ。具体的には、(1)まず全ての避難者に安定した住宅と正規雇用職を用意すること。(2)子どもの教育と高齢者の介護を支援し続けること。(3)医療費を国が負担すること。(4)新規避難希望者にもそれらを提供すること。(5)移住交通費も負担すること。特に発病した人から重点的に移住支援すること。(6)避難元と避難先の役所に、相談・支援ステーションを設け、広報すること。

 そして「避難者と仲間たちはここにいる!放射能汚染と健康被害からの避難政策を!」と書かれた横断幕を先頭に、心斎橋~なんばのデモへ出発した。普段は通れないなんば中心地をデモ申請で勝ち取り、「国はみんなを避難をさせろ!家や仕事を用意しろ!」とコールをし続けた。

 今後は毎月第二・第四土曜日に12時半からJR天満駅前アピールと、国労会館で交流会議を行う。そして6月2日13時半から中央会館で集会とデモの第二弾を行うので、多くの方の参加をお願いしたい。集会の資料はHPに全て掲載されている。http://www.gowest―comewest.net/

3・11「さよなら原発関西アクション」

 翌11日のエル大阪の「さよなら原発関西アクション」には、1200人弱、京都・円山音楽堂の「バイバイ原発京都」には2000人強が参加した。昨年より多く、森友問題で揺れる安倍政権への怒りが影響しているのではないかと、大阪の参加者は口にしていた。

 大阪集会は、右翼の街宣車が妨害に来る中、まず長く原発差し止め訴訟を闘ってきた弁護士の海渡雄一さんが、もんじゅに代表される「原発・核燃の破綻」を講演した。「原発ゼロ法案」も国会に提出された情勢を踏まえて「もう一押しで原発産業は潰すことができる、力を合わせましょう」と発言した。

 福井県民会議も、若狭の地元は再稼働を受け入れてはいないと訴えた。講談師の神田香織さんは「フクシマの祈り」と題して、関東から母子避難した親子の壮絶な体験を熱く講談。続けて前日の集会を終えたばかりの「ゴーウエスト」の下澤陽子さんが「原発事故の本質は放射能の健康被害。みなさん、避難者とこれから避難する人たちを助けてください」とアピール。

 そして参加者は色とりどりの横断幕や旗で、梅田の街をデモ行進した。(園)

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